政府の補助金等を受け取ったときの会計処理をわかりやすく解説!!仕訳例と収益認識のポイント

会計

政府や自治体から補助金を受け取った場合、経理担当者はしばしば「どの勘定科目を使えばいいの?」「仕訳はいつ切るべき?」と悩むことが多いです。

実際、補助金の会計処理はその種類や条件によって異なり、また収益認識や開示の要件にも注意が必要です。

本記事では、補助金等の会計処理及び開示に関する研究報告をもとに、実務に即した内容を解説し、初心者でも理解できるようにわかりやすくまとめました。

なお、本記事は収益に関する補助金等(研究開発助成金、雇用調整助成金など)を対象としています。

📚 目次

  1. 補助金の会計処理の基本ルール
    • 補助金の種類と特徴
    • 勘定科目の使い分け
  2. 収益認識に関する注意点
    • 収益計上のタイミング
    • 返還リスクの考慮と仮受金の使い方
  3. 補助金の種類別 会計処理と仕訳例
    • ① 条件なし補助金の仕訳例
    • ② 条件付き補助金(返還リスクあり)の仕訳例
  4. 開示上の注意点上場企業・大規模法人向け
  5. まとめ
補助金の会計処理の基本ルール
  • 基本的な勘定科目

政府から受け取る補助金にはさまざまな種類があり、その内容に応じて適切な勘定科目を選択することが求められます。以下はよくある補助金の処理方法です。

補助金の種類会計処理(勘定科目)
条件なし補助金(例:一般的な補助金)雑収入(または補助金収入)
設備投資向け補助金(例:設備投資補助金)固定資産圧縮記帳/雑収入
研究開発補助金補助金収入(独自科目で処理する場合もあり)
条件付き補助金(例:成果達成後に交付)仮受金・前受金(収益認識は条件達成後)
補助金の仕訳は入金時が基本、ただし収益認識に注意

補助金の仕訳は通常、補助金の入金時に行います。ただし、補助金の種類によっては収益認識のタイミングに注意が必要です。

  • 収益認識に関する注意点

補助金には返還義務が発生する可能性があるため、収益として計上する前に返還リスクを考慮する必要があります。特に、条件付きの補助金や返還義務がある補助金の場合、収益に計上するよりも、外部への返還を重視し、収益の全部または一部を「仮受金」として負債に計上することも否定されるものではありません。

この点を考慮して、収益認識のタイミングや勘定科目を決定することが大切です。

仕訳例

① 条件なし補助金を受け取った場合

条件なしで補助金が100万円支給された場合、以下の仕訳が考えられます。

借方:普通預金 1,000,000円
貸方:雑収入 1,000,000円

② 条件付き補助金で返還義務がある場合

条件付きの補助金で、返還リスクがある場合は、入金時に「仮受金」として負債に計上します。条件達成後、収益として認識します。

1. 入金時(返還義務を考慮して仮受金計上)

借方:普通預金 1,000,000円
貸方:仮受金 1,000,000円

2. 条件達成後(収益認識)
借方:仮受金 1,000,000円
貸方:雑収入 1,000,000円

開示上の注意点(上場企業・大規模法人向け)

上場企業や大規模法人の場合、補助金の会計処理に加えて、開示義務にも注意を払う必要があります。

補助金を営業外収益区分の「雑収入」科目で処理する場合でも、その金額が大きい場合には別掲開示が必要になる可能性があります。

その際には「補助金収入」など、適切な科目で開示する必要があります。

まとめ

補助金の会計処理は単純な処理で済まされるものではなく、補助金の種類、条件、返還リスクなどをしっかりと把握し、適切に仕訳を行うことが重要です。特に、返還義務がある場合には、収益として計上する前に仮受金として負債計上することも否定されるものではありません。

取引内容借方貸方
条件なし補助金普通預金雑収入
条件付き補助金普通預金仮受金(条件達成後に雑収入へ振替)
補助金返還時雑損失普通預金

上場企業や大規模法人の場合、開示についても注意が必要です。収益の内訳を適切に開示し、必要に応じて補助金収入などの適切な科目で報告することを忘れないようにしましょう。