― 資金繰り表とCCCで、不安な経営に光を ―
はじめに:通帳を見るたび、心がザワつくあなたへ
「利益は出ているはずなのに、なぜかお金がない」
「来月の支払い、大丈夫だろうか…」
そんな不安を抱えていませんか?
経営は、感情との闘いです。
ですが、数字に「見える化」することで、不安は少しずつ和らぎます。
今回のコラムでは、資金繰り表とCCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)という2つの道具を使って、
「お金の不安」に正面から向き合う方法を解説します。

1. 資金繰り表とは?
資金繰り表は、未来のお金の「入」と「出」を整理したお金の予定表です。
たとえば、次のような簡易表でもOKです。
月 | 前月残高 | 入金 | 支出 | 月末残高 |
---|---|---|---|---|
7月 | 1,000,000円 | 800,000円 | 950,000円 | 850,000円 |
8月 | 850,000円 | 750,000円 | 1,000,000円 | 600,000円 |
このように、現金残高の見通しが立てば、事前に資金不足の「予兆」がわかるようになります。
2. 黒字なのにお金が足りない理由
経営上の利益と、実際に使えるお金(キャッシュ)は別物です。
原因は、支払いと入金のタイミングのズレ。
例えば、仕入れ代金は「すぐに払う」けれど、
売上代金は「1ヶ月後の入金」だとしたら、手元の現金が先になくなってしまいますよね。
この時間差を数値で把握できるのが、次に紹介するCCCです。
3. CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)とは?
CCCとは、お金を使ってから回収できるまでの「日数」を表す指標です。
計算式はこちら:
CCC = 売上債権回転日数 + 棚卸資産回転日数 − 仕入債務回転日数
■ 計算例:A社(年間ベース)
- 年間売上:1,200万円
- 売掛金:200万円
- 棚卸資産:300万円
- 買掛金:150万円
- 売上原価:900万円
計算結果:
- 売上債権回転日数=200 ÷ 1,200 × 365 ≒ 60.8日
- 棚卸資産回転日数=300 ÷ 900 × 365 ≒ 121.7日
- 仕入債務回転日数=150 ÷ 900 × 365 ≒ 60.8日
CCC ≒ 60.8 + 121.7 − 60.8 = 121.7日
この会社は、お金を使ってから回収するまでに約122日(約4ヶ月)かかっているということになります。
4. CCCの業種別目安
あなたの業界では、どれくらいが普通なのでしょう?
業種 | CCCの目安 | 特徴・補足 |
---|---|---|
小売(食品・日用品) | 30〜50日 | 現金商売、在庫も早く動く |
製造業 | 70〜150日 | 仕入→製造→売上まで時間がかかる |
建設業 | 150〜300日 | 工期・請求のズレが大きい |
IT業(開発) | 60〜120日 | 売掛中心、棚卸資産は少ない |
飲食・美容・サービス業 | 10〜30日 | 現金収入中心、在庫も少なめ |
CCCが長ければ、資金繰りが厳しくなりやすい。だからこそ、改善できるポイントを見つけましょう。
5. CCCを短くするには?【実例でわかる改善策】
CCCを短縮するには、以下の3つのポイントに注目します:
- ① 売上債権回転日数を短縮する(=売掛金の回収を早める)
- ② 棚卸資産回転日数を短縮する(=在庫を減らす)
- ③ 仕入債務回転日数を延ばす(=支払いを遅らせる)
🏪 実例①:小売業(アパレルショップ)
課題:在庫が多すぎて、売れる前に季節が終わってしまう。
改善策:過去の販売データを元に、仕入量を最適化。人気商品の「予約販売」も導入。
結果:棚卸資産が前年比20%減。棚卸資産回転日数が50日 → 30日になり、CCCも20日短縮。
🏭 実例②:製造業(部品メーカー)
課題:大手取引先への納品後、入金まで90日以上かかっていた。
改善策:「早期入金割引(2%割引で30日以内入金)」の制度を導入。
結果:売上債権回転日数が95日 → 40日へ短縮。資金繰りが安定し、仕入コストの交渉余地も広がった。
👷 実例③:建設業(リフォーム会社)
課題:工事完了後、請求書を出すまでに1〜2週間かかっていた。
改善策:完工報告書と同時に請求書を自動発行するシステムを導入。
結果:入金サイトが20日短縮され、売掛金の残高も25%減少。資金ショートのリスクが大幅に軽減。
🍽 実例④:飲食業(個人経営のカフェ)
課題:食材を一括仕入れしていたが、廃棄ロスが多かった。
改善策:毎日の売上データを分析し、仕入れを小ロット・高頻度に変更。
結果:在庫(棚卸資産)が大幅に削減。キャッシュフロー改善と同時に、食材の鮮度もアップして売上も伸びた。
📦 実例⑤:ECショップ(通販業)
課題:仕入れ先への支払いが前払いのため、資金負担が重い。
改善策:条件交渉により「月末締め翌月末払い」契約に変更。法人カード払いも活用。
結果:仕入債務回転日数が15日 → 45日へ延長され、CCCが30日短縮。必要な運転資金が減少。
6. CCC短縮の効果
- 資金繰りの安定
- 借入の依存度が減る
- 投資判断・仕入れ判断が柔軟になる
- 精神的な安心感が増す
「なぜお金が足りないのか」が見えると、次にやるべきことが明確になります。
CCCは、数字が苦手な経営者にとっても非常にわかりやすい“経営のセンサー”です。
7. 税理士に相談しながら一緒に取り組むのもおすすめ
CCCの改善には、会計や財務の専門知識が求められる場面も多くあります。
そんなときこそ、プロに相談してみてください。

8. 税理士に何を頼める?経営がぐっと楽になる実例
「税理士って、申告書を作るだけじゃないの?」と思っていませんか?
実は、それだけじゃありません。税理士はあなたの経営パートナーです。
税理士にお願いできる主なサービス
- 記帳代行・会計処理のサポート:経理の負担を大幅に減らせます。
- 確定申告・年末調整の代行:ミスや申告漏れの心配なし。
- 資金繰り改善のアドバイス:実際の数字をもとにした具体的な提案。
- 節税対策の立案:無理なく合法的に税負担を軽減。
- 融資申請・補助金申請のサポート:資金調達をスムーズに。
- 経営計画の策定支援:目標設定や資金計画の立案。
経営が楽になった実績例
- 経理作業の外注で毎月20時間の業務削減、経営に集中できる時間が増えた
- 適切な資金繰りアドバイスで銀行融資がスムーズに通り、資金ショートを回避
- 節税提案により、年間数十万円の税金負担を軽減し、キャッシュフローが改善
- 確定申告のミスを防ぎ、税務調査リスクが激減した
こうしたサービスは、一人で悩むよりも税理士と一緒に進めることで、結果が大きく変わります。
9. 無料であなたにピッタリの税理士を紹介!まずは相談から
「税理士に頼みたいけど、どこに相談すればいいかわからない」そんな方におすすめなのがタックスボイスの無料税理士紹介サービスです。
地域や業種、希望に合った税理士をプロがマッチングしてくれるので、安心して相談できます。
相談はもちろん無料。複数の税理士の中から比較検討もできるので、自分に合ったパートナーが見つかります。
経営の不安を一人で抱え込まず、まずは気軽に相談してみませんか?
「難しいことはわからないけど、税務や資金繰りの悩みを早く解決したい」そんなあなたの強い味方です。
