事業再生とは何か?~会計士が見る現場のリアル~

事業再生

こんにちは。会計士のねむりんです。
このコラムでは、企業の再建や立て直しをテーマに、「事業再生」について、私自身の現場での実務経験を交えながら、わかりやすくお伝えしていきます。


なぜ今、事業再生なのか?

近年、多くの企業が非常に厳しい経営環境に直面しています。

コロナ禍による売上の急減から回復しきれないまま、資材・人件費の高騰、さらには金融引き締めによる借入のハードル上昇など、経営を取り巻く環境は年々厳しさを増しています。

このような状況の中で、「事業再生」という言葉を耳にする機会も増えてきました。
一度経営が行き詰まってしまっても、適切な対応と支援があれば、企業は再び立ち上がることができます。

それこそが、事業再生の本質です。


事業再生とは?

借金整理ではない「本当の立て直し」

「事業再生」と聞くと、「倒産」「債務整理」といったネガティブな印象を持たれる方も少なくありません。
しかし、実際の事業再生は、そうしたイメージとは異なります。

事業再生とは、単に借金を減らすことではなく、企業をもう一度「稼げる状態」に戻すことを目的としています。
具体的には次のような取り組みを行います:

  • 収益構造の見直し
  • 不採算部門の整理
  • 資金繰りの改善
  • 経営体制の再構築

財務面の立て直しに加え、「企業の中身そのもの」を見直すことで、持続可能な経営を目指していくのが事業再生です。


会計士が現場で果たす役割

では、会計士は事業再生の現場でどのように関与するのでしょうか?

私たち会計士は、単に数字を扱うだけの専門家ではありません。
事業再生の過程では、次のような多面的な役割を担います。

  • 現状の財務分析と課題の洗い出し
  • 資金繰り計画の策定支援
  • 金融機関との交渉サポート
  • 経営者や関係者との調整・橋渡し
  • 再生計画の立案と実行支援

事業再生は、机上の理論では成り立ちません。
現場では、経営者の葛藤、不安、プレッシャー、従業員の動揺、取引先との信頼関係など、数字には表れない「人の問題」も深く関わってきます。

だからこそ、会計士としての客観的な視点と、現実的な打開策の提示が重要になります。


最後に

事業再生は、決して「恥ずかしいこと」や「終わり」を意味するものではありません。
むしろ、それは「もう一度立ち上がる」という強い意志と、それを支える周囲の力によって、企業が新たなステージに進むための貴重なプロセスです。