はじめに:契約負債ってなに?
最近よく聞く「契約負債」。
実はこれ、*収益認識基準(2021年4月~)の導入で、経理や会計処理に新たに登場した重要な概念なんです。
「前受収益とどう違うの?」
「いつ使う?どう仕訳する?」
「貸借対照表ではどこに表示される?」
そんな疑問に、実務ベースでしっかりお答えします!
契約負債とは?意味と定義
契約負債(Contract Liability)とは:
顧客から対価(お金など)を受け取っているが、まだ企業が提供義務(商品やサービスの提供)を果たしていない部分
つまり、先にお金をもらっているけど、まだ売上にはできないものを指します。
簡単にいうと?
- 「サービスの提供はこれから」
- 「お金はもう受け取っている」
- 「将来サービスを提供する義務が残っているため、今は負債として処理する」
仕訳例|契約負債の計上と消込
① お金を先にもらったとき(サービス未提供)
借:現金 100,000 貸:契約負債 100,000② サービスを提供した月(収益認識)
借:契約負債 10,000 貸:売上 10,000👉 このように、契約負債を「毎月分だけ」売上に振替えていきます。
「契約負債」と「前受収益」の違いは?
比較項目 | 契約負債(新) | 前受収益(従来) |
---|---|---|
基準 | 収益認識会計基準(新) | 従来の企業会計原則 |
表示 | B/Sの流動・固定負債区分 (ワンイヤールール) | B/Sの流動負債区分 (固定負債区分には「長期前受収益」) |
対象 | 商品・サービス未提供分 | 同様(ただし目的が異なる) |
ポイント | 「契約ベース」で管理する | 科目単位で処理する傾向 |
🔍 前受収益 ≒ 契約負債ではあるものの、
新基準では「契約に基づいて収益認識のタイミングを管理する」点がポイントです!
実務での対応|いつから?どうする?
- 2021年4月以降、収益認識会計基準の適用企業では、契約負債での処理が必須に
- B/S上は「契約資産」「契約負債」の新科目が登場
- 実務では、サブスクリプション、保守契約、年間契約などで頻出!
会計ソフトや仕訳設計での注意点
- 前受収益から契約負債に「科目名」だけ変更すればOKではない
- 契約単位での管理、収益スケジュールの作成が必要
- ソフトウェアでは「定期振替機能」「収益認識スケジュール」の活用が◎
まとめ|契約負債は「売上になる前の一時的な負債」
状態 | 会計処理 |
---|---|
顧客からお金を受け取った | 契約負債として計上 |
サービスを提供した | 契約負債から売上へ振替 |
✔ 表示場所は「貸借対照表の負債の部」
✔ 月次で振替処理が必要なので、経理担当は要チェック!