金融商品は、会計や投資において重要な役割を果たしています。その範囲には、金融資産、金融負債、デリバティブ取引に関する契約の3つが含まれます。それぞれがどのようなものか理解することは、財務諸表を正しく把握するためにも欠かせません。本記事では、金融商品の範囲とその具体的な例について説明します。
目次
1. 金融商品の定義 <a name=”1″></a>
金融商品とは、金融市場で取引される資産や負債、またはその一部であり、契約に基づいて将来のキャッシュフローを生じる可能性のあるものを指します。これにより、投資家や企業はキャッシュの流れを予測し、リスクを管理することができます。金融商品は、金融資産、金融負債、デリバティブ取引に関する契約という3つのカテゴリに分類されます。
2. 金融商品の範囲 <a name=”2″></a>
金融商品は以下の3つのカテゴリに分けられます。それぞれについて、具体的な例を見ていきましょう。
1. 金融資産 <a name=”2-1″></a>
金融資産は、将来にわたって現金を受け取る権利を持つものや、将来の価値を提供する可能性があるものを指します。具体的には以下のようなものが含まれます。
- 現金:最もシンプルな金融資産で、即座に取引可能な通貨。
- 株式:企業の所有権を持つ証券。株主として配当金を受け取る権利がある。
- 債券:企業や政府が発行する借用証書。一定の期間後に元本と利息が支払われる。
- 貸付金:企業や個人に対して貸し付けたお金で、返済を受ける権利を持つ。
- 前払費用:一定の契約に従い、継続して役務の提供を受ける場合、いまだ提供されていない役務に対し支払われた対価である(企業会計原則注解の注5)。
2. 金融負債 <a name=”2-2″></a>
金融負債は、将来にわたって現金の支払いが必要となる義務を持つものです。具体的には以下のような負債が含まれます。
- 社債:企業が発行する負債証書で、定められた利率で利息を支払い、満期には元本を返済する義務がある。
- 借入金:銀行や他の金融機関からの融資。借りたお金を返済する義務が生じる。
- 買掛金:商品やサービスの購入において、支払いが後払いである負債。
- 長期未払金:通常の営業活動から発生する買掛金以外で、すでにサービスの提供は受けているものの支払いが完了していないもの
3. デリバティブ取引にかかわる契約 <a name=”2-3″></a>
デリバティブは、他の資産(株式、債券、通貨など)の価格変動に基づいて価値が変動する金融商品です。これに関わる契約は将来のキャッシュフローを予測するため、金融商品の一部として扱われます。具体的な例は以下の通りです。
- 先物契約:原資産の価格が将来どうなるかを予測して取引を行う契約。
- オプション契約:特定の価格で将来原資産を購入または売却する権利を持つ契約。
- スワップ契約:2つのパーティがキャッシュフローを交換する契約。例えば、金利スワップで金利の支払いを交換することができます。
3. 金融商品に該当しないもの <a name=”3″></a>
金融商品に該当しないものもあります。具体的には、以下が代表的です。
1. 前払費用 <a name=”3-1″></a>
前払費用は、一定の契約に従い、継続して役務の提供を受ける場合、いまだ提供されていない役務に対し支払われた対価です。将来のサービスや商品に対する支払いですが、金融商品に該当しません。例えば、年間保険料を前払いする場合、支払った金額はサービスを受ける権利を買ったことになりますが、現金の流れに基づく金融商品ではありません。
4. まとめ <a name=”4″></a>
金融商品の範囲には、金融資産、金融負債、デリバティブ取引にかかわる契約の3つが含まれます。これらは市場で取引されるか、契約に基づいて将来のキャッシュフローが発生する可能性のあるものであり、企業や投資家にとって重要な意味を持ちます。一方で、前払費用や未払法人税等は金融商品には該当しないため、しっかりと区別して理解することが重要です。