後発事象に関する会計基準(案)を解説!実務への影響と適用時期のポイント

会計

「決算を締めた後、有価証券報告書を出すまでの間に重大なニュースが飛び込んできたら?」
実務で極めて重要、かつ判断が難しい「後発事象」の取り扱いについて、ついに日本独自の「独立した会計基準」が誕生しようとしています。

2026年1月、ASBJは企業会計基準公開草案「後発事象に関する会計基準(案)」を公表しました。これまで監査基準委員会報告書や企業会計原則などに分散していたルールを整理・統合し、国際的な会計基準(IAS第10号)との整合性を図るものです。

今回は、この最新の公開草案から、経理担当者が押さえておくべき変更のポイントを分かりやすく解説します。

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編集長(公認会計士)のコメント

今回の開発のポイントは、これまで実質的に「監査のルール(実務慣習)」として運用されていた後発事象の扱いを、正式な「会計の基準」として格上げした点にあります。内容はこれまでの実務を踏襲していますが、用語の定義が整理され、特に「財務諸表の承認日」の考え方が明確になったことで、外部監査人とのコミュニケーションがよりスムーズになることが期待されます。

⚡ 公開草案の3つの重要ポイント

  • 体系化: 分散していたルールを一つの独立した会計基準へ統合
  • 定義の明確化: 「修正後発事象」と「開示後発事象」をIAS第10号に合わせて再定義
  • 期間の特定: 後発事象を考慮する終点を「財務諸表の承認日」と定義

「修正」か「開示」か?再定義された2つの後発事象

新基準案では、後発事象の分類を国際的な基準に合わせて、より論理的に整理しています。

事象の種類 定義と実務対応
修正後発事象 決算日時点で既に存在していた状況について追加的な証拠が得られたもの。
財務諸表の数値を修正する
開示後発事象 決算日後に出現した状況に関するもの。
注記を行う(数値は修正しない)

実務の重要ポイント:考慮すべき「期間」の終点

後発事象として取り扱うべき期間は、「決算日の翌日」から「財務諸表が発行を承認された日」までとなります。

財務諸表が発行を承認された日とは?

経営陣が「この財務諸表で社外へ公表する」と最終的に決定した日を指します。具体的には、株式会社における「取締役会等による承認日」です。有価証券報告書の提出日までの長い期間を管理するのではなく、この「承認日」を基準に実務を回すことになります。

いつから適用されるのか?

現在(2026年1月)は公開草案の段階であり、広く意見(パブリックコメント)を募っている状態です。

  • コメント期限: 2026年3月11日まで
  • 適用開始時期: 2027年4月1日以後開始する連結会計年度・事業年度からの適用を検討中(早期適用も可能となる見込み)。

📝 実務担当者が準備しておくべきこと

  • □ 社内の取締役会スケジュールと、決算作業のタイムラインを再確認する
  • 子会社からの報告フローが決算承認日ギリギリまで担保されているか見直す
  • □ 改正に伴い、注記のテンプレート(雛形)の微調整が必要か確認する
  • □ 監査法人との間で「承認日」の認識合わせを事前に行う

体系的なルールの理解が、決算の「根拠」を強くする

新しい「後発事象に関する会計基準」は、実務を大幅に変更するものではありませんが、
会計処理の「根拠」を明確にするための非常に重要なステップです。

midorichi.comより
新しい基準案が出るたびに「また勉強か……」と思うかもしれませんが、ルールが体系化されることは、経理担当者の判断ミスを防ぐことにも繋がります。midorichi.comは、今後もASBJの最新動向を追いかけ、実務家の皆さまに「今必要な情報」をお届けします。

プロフィール
ねむりん

公認会計士のねむりんと申します。
このブログでは、日々の勉強や業務を通じて得た気づきや知識を、自分の備忘録も兼ねて発信しています。
会計に関する専門的な内容だけでなく、学びのモチベーション維持、キャリアや働き方についても取り上げながら、同じように努力されている方の参考になれば嬉しいです。

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